「ローワンの理念は至ってシンプル・・・それはお客様に対して幅広い選択肢とサービスを提供することです。たとえば、フィンランドやアメリカ、英国など、世界の何処かで誰かがローワンのデザインを選び、これから時間をかけて編んでいこうと決心して下さったのなら、せっかくの作品には最高級の糸を使って頂きたいし、デザインも刺激的かつ斬新なものを編んで頂きたい。」

 ローワンの創業者かつオーナーを務めるステファン・シェアードはそう語ります。

 ステファン・シェアードとそのビジネスパートナー、サイモン・コッキン氏の手によって、1978年、「ローワン」が幕を開けました。当時はイギリス国内で開催される手工芸市を回って手織用のキットを販売していました。 20年経った今、ローワン社の編み物用糸、パターン、そして雑誌は、各国の販売業者を通して世界中で展開されています。ローワンは力強く独自を進化させ、常にトレンドを左右し続けてきました。お客様の声に耳を傾け、業界を率いるデザイナーと密接に仕事をする − 創業当初より志してきた当社の第一目標です。

 デザイナー御用達の製糸会社として知られるローワンは、その数300色に上るウーステッド・ヤーン(梳毛糸)を伝統的な紡績方法で製造する他、特別にデザインされたツイード糸、コットン・シェニール糸(ビロード状に毛を立てた変り糸)、洗ううちにジーンズ生地のように色落ちするインディゴ染めデニム糸、その他クラッシックなコットン糸まで、多種多様な糸を手がけています。繊維産業のメッカであるここ英国ヨークシャーのペンイン・ヒルズに拠点を構えるローワンは、地元の紡績業社と染織業者を最大限に起用してきました。そうすることで、変りつづける色彩のトレンドや、洗濯機で洗える糸等、より特殊化するお客様の要望にいち早く対応する事が出来るのです。

 ローワンの個性を作り出すのはデザイナーであり、彼らの意見は社のあらゆる面に反映されます。デザイナーとしての教養も備えたステファン・シェアードは、ビジネスを前進させるには、何よりデザイナーの意見に耳を傾ける事が大切だと確信しているのです。彼らの提案する糸の材質や色、そして、伝統的手工芸という枠に則りながらも新たに生み出されるデザインの数々を尊重すること。その中でも圧巻的な影響力を持つのが、長年ともに働いてきたケイフ・ファセット氏なのです。ステファンとケイフの出会いは1980年にさかのぼります。

 「ステファンが作っていたシェニール糸が好きだったから、僕の希望する色で作ってくれるか聞いてみたんだ。彼からOKの返事をもらったときはびっくりしたよ。デザイナーの声に耳をかすばかりか、実際こちらの要望に対処できる準備が整っているような会社がイギリスにあるなんて思ってなかったからね。」

 ローワンの為にケイフが創作した作品の中には35色もの糸を使ったデザインもあり、その材質も特殊だった為、一般のニッターにはこなせないデザインだという声もありました。この予測を覆したのは、より鋭い感覚でデザインを捕らえるようになったお客様に他ならなかったのです。今や編み物は趣味として、そして自己の創造性を追求する手段として楽しまれるようになりました。ケイフ・ファセットは著名なニットデザイナーの一員としてローワンと提携し、新たな企画とアイディアを提供し続けています。

 ローワンは、それまでの簡素なイメージを越え、「手編み」を芸術へと昇華させたのです。年2回刊行される雑誌は、どんなレベルの方にも楽しんで頂けるデザイナーのニットパターンを30以上お届けしています。斬新な写真とスタイリングを駆使することで、ローワンは、製糸・手編み産業、そして赤ちゃん色「パステルカラー」にあった従来の限界を広げる事に成功したのです。

 ローワンの理念は至ってシンプル・・・それはお客様に対して幅広い選択肢とサービスを提供することです。たとえば、フィンランドやアメリカ、英国など、世界の何処かで、誰かがローワンのデザインを選び、これから時間をかけて編んでいこうと決心して下さったのなら、せっかくの作品には最高級の糸を使って頂きたいし、デザインも刺激的かつ斬新なものを編んで頂きたい。お客様には好きな色、糸、そしてパターンを選んで頂き、世界中に待機する当社販売員を通じてアイディアを提供し、個性と創造性が光る作品を皆様に自信を持って作って頂けるようお手伝いさせて頂きたいと思っております。

 ケイフ・ファセットも言っています。
「せっかくの貴重な余暇を費やして編み物をするんですから、後々まで大切にされるような、美しくて良質なものを作りましょう。」